泰生ポーチ
アーティスト有志が開いた「KAIEさんを偲ぶ会」、思いを共有する時間に(後編)

2019.08.30 泰生ポーチ

去る6月21日・22日には、KAIEさんと親交のあった有志により「KAIEさんを偲ぶ会」が開催された。前回に引き続き、泰有社の伊藤康文さん、泰生ビルに入居するnitehi worksの稲吉稔さん、シンコービルのバー「tenjishitsu:Tür aus Holz 常盤町」の内藤正雄さんのお三方に語っていただきます。

 

●追悼回顧展
6月21日~6月22日 18:00~21:00
@泰生ポーチ1Fフロント
●KAIEさんを偲ぶ会
6月21日(金)
@会場1>泰生ポーチ1Fフロント 18:00~21:00
@会場2>tenjishitsu:Tür aus Holz 常盤町 19:00~23:00
●ダンサーによるパフォーマンス
6月22日 (土) 19:00~
@泰生ビル屋上

 

 

今にもふらっと遊びに来るんじゃないか、そんなリアリティを残したアーティスト

KAIEさんが入居していた泰生ポーチのオーナー、伊藤さんは「さよならが言えなかった心残りのある人たちが、集まってお別れできる時間を設けたい」と考えた。そんな伊藤さんを中心に、「KAIEさんを偲ぶ会」の企画が動き出す。そこに深くコミットしたのが、アーティスト仲間としてKAIEさんと親しかったnitehi worksの稲吉さんだった。

 

「あとから考えると、僕はKAIEに動かされたんだなと思っています。伊藤さんが声をあげてくれたことも、実現への大きな力になりました」(稲吉稔)

 

左から内藤正雄さん、稲吉稔さん、伊藤康文さん。2019年7月某日、会場になったtenjishitsu:Tür aus Holz 常盤町にてお話をお聞きした

 

「KAIEさんを偲ぶ会」を実現しようと動く人たちの輪は、あっという間の広がりをみせた。シンコービルにtenjishitsu:Tür aus Holz 常盤町を構える内藤さんは、泰生ポーチと連動して通常のバー営業をアレンジし、店内の内装を特別仕様にアップデートして、花かんむりをかぶりKAIEさんを偲ぶ「夏至祭」を開くことにした。

 

「KAIEさんの訃報が広がってすこし経った頃、お店を営業しているときに稲吉さんと渡辺梓さんが話しに来てくれたんです。KAIEさんのことをいろいろ話すなかで『何かやりたいね』という流れになりました。Launch Pad Galleryさんが動いているのは分かっていたので、関係者の方たちと一度やり取りをさせてもらい、連動して一緒にやりましょうということになったんです。Facebookのグループをつくり、そこから偲ぶ会を開催する輪が広がっていきましたね」(内藤正雄)

 

 

KAIEさんの個展を開いたこともある元町・中華街のギャラリー「Launch Pad Gallery」では、オーナーのリュウリンさんを中心に、追悼展示のプランが動き出していた。そこでの追悼展と連動する形で、泰生ポーチでは追悼展示の第二弾を開催。さらに泰生ポーチとtenjishitsu:Tür aus Holz 常盤町でそれぞれ開かれた「KAIEさんを偲ぶ会」、そして泰生ビルの屋上ではKAIEさんと交流のあった振付家の苫野美亜さんによるダンス公演を開いたのである。

企画が動き出してからおよそ2ヶ月。すごいスピード感で、稲吉さんたちは企画を詰めていった。内藤さんが作成したFacebookグループに加入した中心メンバーは11名。KAIEさんと交流のあった人たちが、自然と集まった。これらの企画の運営に関わった人の数は、延べ20名に及ぶ。稲吉さんと同じく、KAIEさんに動かされたクリエイターやアーティストが、会をつくりあげていったのだ。

 

泰生ポーチでのKAIEさんを偲ぶ会。KAIEさんの作品のほか、ワークショップに参加してつくられた成果物も、参加者たちのネットワークから集め、展示された

KAIEさんが残した写真や、スケッチブックも公開された。来場者がメッセージを寄せるノートには、たくさんの人たちが言葉にならない思いをつづった

KAIEさんを笑顔でおくる参加者たち。それぞれの思いをKAIEさんに届け、偲ぶ会は幕を閉じた。参加者たちの笑顔が会の暖かさを物語る

tenjishitsu:Tür aus Holz 常磐町での夏至祭に西澤力(BALANCE FLOWER SHOP)さんが提供した花かんむり

 

KAIEさんのご主人と展示作品のやり取りなどをしていた稲吉さんは、細やかな心配りをしながら企画を進めた。

 

「ご主人にはご負担をおかけしたくありませんでした。会が終わったあと、KAIEさんの横浜での活動をあまりご存知なかったご主人から『これまで知らなかった彼女を知ることができた』と声をかけていただけたのは、嬉しかったです」(稲吉稔)

 

KAIEさんの生前、東京でも一緒に展示をやろうと企画をはじめていた内藤さんは、具体的な話をしようと2018年の夏ごろにメッセージを送ったら、あたりさわりのない感じの返事があったそうだ。だが亡くなったのとちょうど同じころ、夢のなかでとてもリアリティのあるKAIEさんに会ったという。企画のことが気にかかり、内藤さんに会いに来たのかもしれない。

 

「いまだに『こんにちは!』って、そこのドアから入ってくるような気がするんですよね」(内藤正雄)

 

アーティストとして、まだまだこれからたくさんの活動をしていくと誰もが思っていた矢先の訃報だった。若くして他界されたことが悔やまれる。

 

「『いなくなったわけではないよ』って、本当は彼女、言いたいんじゃないかな」(稲吉稔)

 

天国でもきっと作品をつくっているだろうし、コミュニティを盛り上げているだろう。稲吉さんが最後につぶやいたとおり、関わった人たちのなかにその存在は生き続けている。言葉には尽くしきれない、たくさんのものを残してくれたKAIEさん。ご冥福を心よりお祈りしています。

 

取材・文:及位友美(voids)/写真:中川達彦(ライトハウス)

 

 

追悼展示1・2で展示されたKAIEさんの作品

 

Kaie Yoshi(KAIE)=吉澤香代子さん ©️BankART1929

 

【追悼回顧展】 ※関係者のクレジット敬称略・順不同
パート1
6月7日~6月17日 13:00~19:00
会場:Launch Pad Gallery
https://launchpad-gallery.com
https://www.facebook.com/LAUNCHPADYOKOHAMA/
会場提供:Launch Pad Gallery
設営協力:リュウリン、鈴木貴美子、橋村至星、稲吉稔
パート2
6月21日~6月22日 18:00~21:00
会場:泰生ポーチ
http://taisei-po-chi.yokohama/
会場提供:株式会社泰有社
設営協力:稲吉稔、渡辺篤、渡辺梓、リュウリン、あかり
取材雑誌提供設営:鞍田恵子
https://www.facebook.com/kurata.keiko

 

【KAIEさんを偲ぶ会】
2019年6月21日(金)
会場1:泰生ポーチ1Fフロント (18:00-21:00)
飲食提供:株式会社泰有社
http://taisei-bldg.taiyusha.co.jp/
キャンドル:中村仁美
花かんむり:西澤力(BALANCE FLOWER SHOP)
DJ:江田常仁
音響サポート:小滝みつる
軽食オードブル:パン屋のオヤジ
会場2:「夏至祭」
tenjishitsu:Tür aus Holz 常盤町(19:00-23:00)
https://www.facebook.com/tenjishitsu.TurausHolz/
【夏至祭|KAIE追悼<ダンサーによるパフォーマンス>】
2019年6月22日(土)19:20~
会場:泰生ビル屋上(泰生ビル)
振付:苫野美亜
ダンサー:上野由里加、寺坂薫、中澤ユリサ
キャンドル:中村仁美
花かんむり:西澤力(BALANCE FLOWER SHOP)
音響照明/会場設営:稲吉稔 /渡辺篤
会場提供:株式会社泰有社
動画撮影:渡辺篤
写真撮影・提供:中川達彦

その他泰生ポーチについてはこちらから

>