2025年1月26日(日)、弘明寺かんのん通り商店街にある観音橋・さくら橋の上でマルシェイベント「橋の上の、弘明寺市場」が初開催。「水谷マンション」の「AKINAI GARDEN STUDIO」、ダバンテス・ジャンウィルさんらが実行委員として準備をしてきました。初開催のマルシェの様子をWEBマガジンの再編でお伝えします。
また、その約1年後の2026年2月に、ダバンテスさんが橋本彩香さんと二人でコミュニティスペース「マチノテコ」をオープン。1年の手応えと今後をお聞きしました。
市場が地域と出店者・来場者をつなぐ架け橋に
挑戦を歓迎する弘明寺の魅力
「下町情緒あふれるこのまちで日常の豊かさを感じてもらい、弘明寺のエネルギーを次の世代へつなげたい」。そう話すのは実行委員長のダバンテスさん。弘明寺に移り住んだのは2021年。クリエイティビティ最大化を目的とする有期シェアハウス「ニューヤンキーノタムロバ」入居を経て、退去後も弘明寺に住み続けています。
初開催日は強風があったものの、青空が広がるマルシェ日和。珍しい野菜ドレッシングや手作りキャンドル、ワークショップ体験ブースに人気が集まり、来場者からは「普段見られない商品に出会えて楽しい」といった声がありました。
独自のデザインでマルシェを彩る
イベントの特徴の一つが、独自にデザインされた屋台です。建築ユニットのAKINAI GARDEN STUDIOが中心となって設計したこの屋台はシンプルながらも、マグネットで出店者がメニューやチラシを簡単に貼り付けられる仕様に。また、軽量の商品を吊るすことができる丸棒も備えており、多様な商品展示が可能です。
ロゴも、地元出身の図案家・鈴木大輔さんが手掛けました。弘明寺にある横浜市指定有形文化財の金剛力士像をモチーフに、力強く、かつポップな赤色が印象に残ります。
横浜弘明寺商店街協同組合理事長の小林宗之さんは「この市場は、商店街に新しい風を吹き込んでくれる。若い世代のアイデアと商店主の経験が融合すれば弘明寺の魅力をさらに高められます」と期待。月に一度の橋渡しが、人々の心と心を、そして過去と未来をつなぐ架け橋となることが見えた一日でした。
取材・文:宮島真希子/編集:中尾江利(voids)/写真:菅原康太
このまちで、大きな力をつくるテコの役割を(マチノテコ特別インタビュー)
橋の上の、弘明寺市場から1年
橋本 私はタムロバのコンセプトに惹かれて2024年に入居しています。小説家になる夢を叶えるため、自分の環境を変えました。弘明寺の皆さんはやりたいことを応援してくれる。この環境を手放したくないと思って、タムロバ卒業後も弘明寺で活動しています。
ダバンテス 橋の上の、弘明寺市場をきっかけに、まちの人とのつながりが深まりました。小林さんが弘明寺の副住職さんと僕をつなげてくれましたし、いまは近隣の特別支援学校や市立南図書館ともつながりができました。
橋本 出店者の皆さんが本当に優しくて。終了後に屋台の解体で協力したり、声を掛け合ったり。常連のお客さんが「ここでなら挑戦できる」と出店者になってくれたこともありました。
ダバンテス 金物店「さいたまや」が閉店すると聞き、「何かをやれるスペースとして貸してください」と泰有社に頼みました。そして、2026年2月に、橋本と二人でさいたまやをマチノテコというコミュニティスペースとしてオープンしました。
橋本 弘明寺には、最初の一歩を踏み出せずにいるけれど、何かをやってみたいという想いをもった人はたくさんいるなと感じていました。そんな人たちに小さな力を加えたら、テコの原理のように大きな力になるのではないか。マチノテコはそんな思いで名づけました。
人生をちょっと変える手助けや後押しになれるといい
ダバンテス ここはイベントが行われたり、ギャラリーとして個展が開かれたりと、さまざまな楽しみ方ができる場所。なにかを始めたい人が挑戦できるレンタルスペースとしても活用できます。「まちの案内所」をイメージしていて、商店街で買ったコーヒーや和菓子を持ち寄ったり、まちの景色を眺めながら作業やおしゃべりをしたりしてもいい。営業時間は11〜18時が中心で、19時以降は何かをやってみたい人向けの時間にしたいですね。フリーテーブルやシェア本棚、リソグラフ印刷機もあるのでZINE作りもできます。いずれは100人が弘明寺で同時多発的に企画をやる「100フェス」開催が野望です。
橋本 「これが好き。やってみたいかも」といったことを相談してもらえれば、私たちが実現に伴走するし、失敗しても大丈夫。皆さんが挑戦できる場所になったらいいな、というのがマチノテコが目指すところです。単に若者が新しいことやっているまちではなくて、古き良き人の温かさがあるうえで文化が混ざり合っている。そんな文化のある弘明寺を夢みています。
ダバンテス 「人生に迷ったら一度は弘明寺に行こう」と言われるようになったらうれしい。この場所が、自分の納得いく人生を歩む手助けや後押しとなるきっかけになれたらいいですね。
取材・文・写真:中尾江利(voids)