新型コロナウイルスの感染拡大という、数か月前には予想すらできなかった事態。2020年の新年度、誰もがいつもの活動や生活にさまざまな影響を受けました。泰有社のビルに入居するクリエイターたちはいま、なにを考えているのでしょうか。
この時期だからこそ残せる、クリエイターたちの言葉。アフターコロナのためのメールインタビューです。
━ふだんの活動について教えてください。
オンデザインパートナーズ 大沢雄城
オンデザインでは住宅や公共施設などの建築設計から、都市戦略の立案から実際のまちづくりの拠点や場の企画・運営マネジメントといった人の集まる空間にまつわるあらゆるデザインに取り組んでいます。私は特にまちに関わる業務を中心に活動しています。
━新型コロナウイルスとともに生きていくうえで、ご自身の生活や活動に対する「考え方」に、どのような変化がありましたか?
もともと私はこの数年は自宅オフィスを拠点にしつつ様々な場所を行き来しながら働いていたのですが、いまは自宅オフィスに一日中いてオンラインで打ち合わせをすることが増えたので様々な無駄と感じていた手間やコストが省けて便利になっていると感じる一方で、直接会えない/集まれないという状況の不便さも同時に感じていて、僕らがいつも提案している新しいライフスタイルにはどちらも大切なのだなと実感しています。
━新型コロナウイルスとともに生きていくうえで、工夫していること、心がけていること、大切にしている心構えなどがあれば教えてください。
いまは家族みんなでSTAY HOMEです。いかに家で楽しめるかを工夫しようとベランダを積極的に活用してみるとか、いかに人と接触しないで散歩するかを工夫すると目的地のない散歩が大切になってくるので、いままで行ったこともなかった路地に入ってみるなどいろいろな散歩ルートを開拓したりしています。
━いま、いちばんリラックスできるのは、どんなときですか?
家族全員で毎日お昼ごはんを食べるときです。意外とこれまでのライフスタイルだとなかった体験なので新鮮です。
━アーティスト・クリエイターとして、いま、どのような表現/活動をしたいと思いますか? その理由も教えてください。
わたしたちは人が集まる場のデザインをすることが仕事の基本なので、いまはできないことのほうが多いですが、一方でオンラインで場所にとらわれずに集まる/参加することができる価値も模索しながら発見することができていると思います。リアルに集まることの価値と、オンラインでも繋がれることの価値をあわせていくと、これまで”こういうものだ”と思われていた空間も変わっていくのではないかということを考えています。
例えば、オフィスは「個人が作業するための空間」ではなく「集まって何かをするための空間」に再定義されるとするとはたしてどういうデザインになっていくのかとか、家でも「みんなで一緒にいる空間」と「集中できたりひとりになれる空間」が共存すると◯LDKといった考え方も変わってくるのではないかとか、そういった新しい場と空間の価値を提案していきたいです。
━コロナ禍が「落ち着いた」と言えるようになったとき、いちばんしたいことはなんですか?
それでもやっぱりみんなで集まりたいですよね。岡村靖幸の「電話なんてやめてさ 六本木で会おうよ」という歌詞が最近よく頭をよぎります。
━コロナ禍が「落ち着いた」あと、どのような社会になっていてほしいですか? 近い未来に向けて、希望があれば教えてください。
今回の新型コロナウイルスの影響で”できるようになったこと”を手放さない社会や都市になっていて欲しいです。もとに戻って欲しいことはできるだけ早くもとに戻って欲しいし、これまでなかなか一歩が踏み出せなくて実現できていなかったことが半ば強制的に社会に実装されたことについてはちゃんと評価と分析をしながら、これからの新しい社会や都市にアップデートしていくことができると素敵だと思っています。それこそがぼくたちの新しいライフスタイルだと信じています。
━好きな景色、お気に入りの作品の記録写真、誰かと共有したかった日常の一コマ、なんでも構いません。お写真1点を、写真を説明するキャプションとともにお寄せください。
profile
大沢 雄城 Yuki Osawa
1989新潟生まれ。2012年横浜国立大学卒業、同年オンデザイン。
横浜の建築設計事務所オンデザインにて、まちづくりやエリアマネジメントなどの都市戦略の立案から実践まで取り組む。
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