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泰生ポーチ
入居者ファイル#36
星川隆夫さん(株式会社横浜アストレア)

泰有社の物件に魅せられた人々を紹介する「入居者ファイル」シリーズ。今回は、泰生ポーチに入居し、不動産業と遺品整理・不用品回収を行う「株式会社横浜アストレア」の星川隆夫(ほしかわ・たかお)さんにご登場いただきます。

働きやすい関内のまち

不動産売買や賃貸仲介、管理などの不動産業をメインに、遺品整理や不用品回収も行う会社として2021年、泰生ポーチに設立した株式会社横浜アストレア。同社代表の星川隆夫さんは、約10年前にもともと泰生ビルの「一級建築士事務所 秋山立花」が運営する「シェアオフィスcosmos」に入居していた。「BNIという異業種交流会で秋山さんに出会ったのがきっかけです。シェアオフィスにはカメラマンや行政書士の方など多くの人がいましたね」。

必要なものが整然と並び、コンパクトで清潔感のある泰生ポーチのオフィス。仕事柄、リサイクル品で設えた机や椅子、棚などの家具は、中古品には見えない佇まい

その後、不動産業として独立を考えたとき、シェアオフィスだと宅地建物取引業者の免許が取れなかったため近場で物件をリサーチ。タイミングよく泰生ポーチが空いていることを知った。「不動産の登記簿謄本を法務局で取得したり、物件の建築方法や水道などの埋設管を市役所で調べたりと、どちらも徒歩で行ける関内は不動産業にとって便利な立地。知り合いの飲食店も多いので、過ごしやすいです」。

星川隆夫さん

不動産業と遺品整理・不用品回収の両輪

工業高校を卒業してすぐに働きはじめたという星川さん。工場で働いていたところ、千葉にいる知り合いから本屋を手伝ってほしいとの連絡をもらった。「親が病気になってしまったそうで。本屋も面白そうだと思ったので、本屋の店長として9年ほど千葉にいましたね」。

その後、住宅のエクステリアを施工する会社で、営業・設計として5年ほど働いたという。「本屋で働いていたときから宅地建物取引士の資格を得ようと勉強していました。これまで学んだことのない分野だったので、何回か受けても合格しなかった。本腰を入れようと思い、エクステリアの会社を辞めて不動産の会社に入社したんです。しばらくして無事に合格し、資格を得ることができました」。その後、不動産会社が都内だったため横浜の拠点として泰生ビルのシェアオフィスに入居。のちに独立し、今に至る。

宅地建物取引業者票や免許証などが並ぶ

星川さんが携わるのは不動産業だけではない。アストレアを設立する前の2020年、不動産会社勤務時の同僚と共同で、遺品整理や不用品回
収をする「株式会社イーコア」も立ち上げた。同僚の知人がもともと遺品整理の仕事をしていて、現場の手伝いに誘われたのがきっかけだった。孤独死してしまった方の家に入って手伝いをしていたという。

遺品整理の現場では、どのような対応が求められるのか。星川さんに聞いた。「遺族の方がすでに室内を確認し、必要なものを持ち帰ったあとに入るケースが多いです。冷蔵庫など大きなものが残っていることもあり、ほかの遺品整理業者と協力して片付けることもあります。現場によって変わりますが、3日くらいかかりますね」。不動産業と他会社の役員は兼任できないため、星川さんは現在、株式会社イーコアからは籍を抜いているが、遺品整理や不用品回収にはアストレアでも取り組んでいる。

泰有社コミュニティのなかでも、不用品回収を専門とする星川さんへの相談が多いという。星川さんの紹介で泰生ポーチに入居した、ブランディングやデザインを手がける「あげる株式会社」の帶川さんからは、段ボール回収の依頼を受けた。また、泰有社オーナーの伊藤さんからは、弘明寺のGMビル付近にある放置自転車などの回収の依頼があった。「自転車はタイヤを外せば鉄屑屋さんで引き取ってくれるんです。まとめてもっていけばある程度の金額に換金できますね。こういった分別や処分場所についても、経験を重ねていくなかで対応できるようになりました」。

星川さんも参加した7月に行われた泰生ポーチ交流会の様子。不用品回収について、他の入居者からも多くの質問が飛び交った

国内外の人々を支える寄付のかたち

不用品回収に積極的に関わってきた星川さんだが、目的は収益ではない。鉄屑や段ボールなどを換金して得た利益は、保育園や移住スペースを運用するNPO法人に寄付しているという。お金だけでなく、まだ使える電子レンジなどの電化製品、未使用のタオルや洗剤といったものも譲っている。

横浜アストレアのホームページでは、寄付についてのニュースが見られる*

現在、星川さんが寄付などの活動で交流しているのは、主に4つの団体だ。泰生ビルに入居する秋山怜史さんが立ち上げた「NPO法人全国ひとり親住居支援機構」や、横浜市金沢区に子ども用のホスピスを建てた「認定NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクト」、瀬谷区で保育園事業などを展開する「認定 NPO 法人さくらんぼ」、そしてカンボジアの子どもを支援する「認定NPO法人 GLOBE JUNGLE」。星川さんは「BNIの異業種交流会をきっかけにこういった団体の皆さまと知り合うことが多いです。子どもも大人も優しい気持ちで楽しい生活ができるよう、少しでも貢献していけたら。今後も遺品整理や不用品回収の事業を展開していきたいと思っています」と話す。

発展させたいのは不動産業も同様だ。現在は新築・中古物件の売買仲介や賃貸仲介、不動産購入や投資のコンサルティングをしているが、今後は自社物件をもちたいという。賃貸物件として貸し出すことはもちろんだが、つながりのあるNPOなどと連携し、住むところがない人に提供する社会貢献事業も視野に入れていると話す。

アストレアが掲げる「だれもが平等に明るい未来を思い描ける社会づくりを目指します」という企業理念を、地道に実践している星川さん。継続して取り組んできたアストレアのさまざまな社会貢献は、国内外の子どもやその家族のくらしを支えているだろう。

PROFILE
星川隆夫[ほしかわ・たかお]
昭和40年9月15日生まれ 57歳
家族:妻 子供なし
趣味:テニス
横浜市港南区上永谷在住

取材・文:中村元哉(voids)
写真:大野隆介(*をのぞく)

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2015年にオープンした泰生ポーチは、「Small is better!」というコンセプトの通り、アーティストやクリエイターのタイニーオフィスが集まっているのが特徴だ。2018年からは、1階「泰生ポーチ フロント」の飲食店・学童・イベントスペースとしてのタイムシェア運用も始まり、2階には店舗もオープンするなど、まちに開かれ、愛される拠点として育ちつつある。