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トキワビル/シンコービル
「関内外OPEN!14」に向けての集い&
まちを見下ろす屋上でのBBQ交流会

泰生ビル、泰生ポーチとともに、多くのクリエイターやアーティストが拠点を構えるトキワビル/シンコービル(以下トキワ/シンコー)。月に1回、入居者が顔を合わせて近況を話したり、ビルの運営などについて話し合ったりしていた「トキワビル/シンコービル住民会」も、新型コロナウイルスの影響により中止やオンラインでの開催など、自粛ムードに。

そんななか2022年10月に開催した「関内外OPEN!14」では、数年振りとなるオープンスタジオを実施した。それに合わせて、「関内外OPEN!」の初回から参加してきたというベテランのクリエイターから、トキワ/シンコーに入居したてのクリエイターまで、多彩な顔ぶれによる住民会を開催。トキワ/シンコーではどのようにお客さんを迎え入れるか、意見交換を行った。またその1ヶ月後には、トキワビル屋上で入居者同士の交流の場としてバーベキューを実施。久しぶりに30人以上が参加したにぎやかな交流会になった。トキワビル/シンコービル住民会と、屋上バーベキューの様子をフォトレポートで紹介する。

月1恒例のトキワビル/シンコービル住民会

2022年10月1日(土)・2日(日)に実施された「関内外OPEN!14(以下、関内外OPEN!)」。“出航! スタジオツアーズ 横浜で活動するクリエイターの拠点を巡る旅!” と題した今回は、計15 のツアーが企画され、関内外エリアに関わりのあるクリエイターがツアーガイドを務めた。泰有社所有の泰生ビル、泰生ポーチ、トキワ/シンコーの4箇所は、ツアー時間外にも人が来れるように、オープンスタジオも実施することに。地域住民を含むさまざまな人たちが、このイベントを楽しむためにはどうすればよいか。有志が集まる「トキワビル/シンコービル住民会(以下、住民会)」の場で話し合いをした。

住民会は主にトキワビルの311号室で行われ、共有部屋として入居者が管理している

9月に開催した住民会には、トキワビルの前田篤伸建築都市設計事務所・前田篤伸さんをはじめ、ライトハウス・岩間正明さん、関内外OPEN!に参加する泰生ビルのピクニックルーム代表・後藤清子さん、そして泰有社・伊藤康文さんも久しぶりの住民会ということで参加した。部屋に入ると机の上にはワインやビール、お菓子のほか手作りの料理が並ぶ。各々が食べたいものや飲みたいものを持ち込めるのが住民会のスタイルだ。

関内外OPEN!の幹事チームであるvoids・岡部正裕さんは「ここ2年間の関内外OPEN!はコロナ禍だったので、オンライン上で動画を作成して公開をしたり、旧横浜市庁舎の横にある関内えきちか広場でリアルイベントをしたりしました。今年はツアープログラムが中心にはなりますが、このビルでは初心に帰って、コロナ前にやっていたオープンスタジオもできればと考えています」と話した。

環境デザイン・アトリエの安田博道さんと、CHA・原崎寛明さんも駆けつけた(ともに建築家)

話題はオープンスタジオの実施形態について。これまでの課題として、お客さまを招き入れる特性上、入居者は自分の事務所にいなければならず、ほかの部屋を巡ることができなかった。入居者同士のつながりも深めつつ、お客さまを楽しませるにはどうすればいいか。トキワ/シンコーならではの解決策として、入居者自らツアーコンダクターを務め、参加者とともに巡る案があがった。前田さんは「コンダクターがいれば、入居者同士だからこその話で盛り上がる。その場に居合わせたお客さんも、ここでしか聞けない話を聞けていいかもしれない」とうなずく。話し合いの結果、3つのグループに分かれて参加者を案内することに。写真家の中川達彦さん、環境デザイン・アトリエ・安田博道さん、voids・岡部さんが各グループのコンダクターを担当した。

関内外OPEN!14でのツアーの様子

住民会の最後に、伊藤さんが「コロナで住民会も十分にできていなかったし、あらたな入居者の方との顔合わせも兼ねて、屋上バーベキューをしようか」と提案。それを聞いて参加者は大盛り上がり! さっそく1ヶ月後に日程を決め、バーベキューのプランを話し合うことに。

GM2ビル、水谷ビル/GMビルのある弘明寺でもバーベキューをしたという伊藤さん。住民会に集まったメンバーも、待ち遠しいという様子

入居者大集合! 昼夜開催のBBQ大会をフォトレポートで

いよいよ屋上バーベキューの当日。平日だったこともあり、昼と夜の2部制での開催とした。トキワビルの屋上には長机やたくさんの椅子に加え、特大のグリルが! イシマル建築設計室・石丸由美子さんがこの日のために参加者が楽しめるよう私物を持ってきたという。おいしく焼き上げるための炭も大量に用意して、準備万端。「乾杯!」のひとことで、バーベキューがスタートした。

大きなグリルで、お肉から野菜まで一気に焼き上げる
バーベキューをしていると、隣のビルから覗き込む人も
牛肉のほかに鹿肉と熊肉も! 歯応えと野性味が感じられ、味付けのスパイスと抜群にマッチ
私物のスキレットでチーズを温める人も。チーズフォンデュにしてより贅沢に!
日も暮れて、夜からの参加者が集まって第2部がスタート
子どもたちの姿も!
左から環境デザイン・アトリエの安田博道さん、SCALA Design Engineers・村上翔さん、voids・岡部正裕さん、アートコネクトヨコハマ・川久保悠里さん。異業種交流が泰有社ビルの魅力のひとつだ
左からオンデザインパートナーズ・西大條晶子さん、イシマル建築設計室・石丸由美子さん、櫻井計画工房・櫻井心平さん、ライトハウス・三浦かおりさん。日常的なことから、仕事の話まで終始和やかなムードに
コンロを囲んだり、立ち話をしたりと思い思いの場所で交流が生まれた

ここトキワ/シンコーの住民会では日々の雑談からビルの運営、イベントごとの企画まで、入居者同士が交流できる環境がある。コロナ禍以降、初とも言える交流会となった今回のバーベキュー。ウィズコロナですこしずつ環境も変わりつつあるが、入居者たちが交流を楽しむ姿を見て、リアルな場で対話をする時間の豊かさをあらためて感じた1日だった。

取材・文:中村元哉(voids)写真:中川達彦