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オーナーズアイ 水谷浩士版(泰有通信 vol.8掲載)

今号は泰有社オーナー水谷浩士が、自身もコレクションするアートへの思いや、泰有社のこれまでとこれからを語るオーナーズアイ! お楽しみください。

編集部 GM2ビル4階の泰有社本社にはアート作品がたくさん飾ってありますが、なぜでしょうか?
 
水谷 泰有社の事務所デザインは、ナガオカケンメイさんにお願いしました。事務所ができてからは「空間だけではなく、なかに何があるか」に関心が向き、ベルギーの作家、ジャン=リュック・モーマンのマドンナとケイト・モスの作品を買いました。最初に買ったこの作品が、最も思い出深いです。
 
父の影響でビンテージの時計やファッションが好きで、芸術にも関心があったのです。だからアーティストやクリエイターの入居が増えていくのを見て「楽しい」と思いました。市の文化芸術政策などの流れがあったとは思いますが、私は堅苦しいことは好きではなくて入居者が楽しめる空間をつくっただけ。時代に合っていたと思います。
 
今では「BankART1929」が運営した「R16スタジオ」から渡辺篤さんが入ってきて、小泉明郎さんも来てくれました。BankART1929元代表の故池田修さんや渡辺篤さんから買った作品もあります。アーティストのブレない価値観を尊敬しています。
 
 
編集部 これからブランディングしたい場所や力を入れたいことは?
 
水谷 やはり私の地元の弘明寺です。今年1月には「ニューヤンキーノタムロバ」や「AKINAI GARDEN STUDIO」が中心となって「橋の上の、弘明寺市場」というマルシェが始まりました。横浜弘明寺商店街共同組合理事長などは仲良くしてくださるし、私は横浜信用金庫弘明寺支店の弘信会会長でもあるので、商店街、銀行、アーティスト・クリエイターが一体になれるといいですね。
 
不動産業を継いで入居者と話してわかったことは、「厳格でまちの嫌われ者だったのでは」と思っていた祖父が、まちの人に対してとても優しかったということ。地元の繁栄を考えていたのですね。祖父は時代も価値観も全く違う人です。だから、私は私なりにアートを日常にひらいて、身近にしていければと思います。

ジャン=リュック・モーマンの作品
渡辺篤の作品