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泰生ポーチ
入居希望者が途絶えない、
そのワケは?

オフィスは必要だけど、大きい必要はない。そんな個人経営者や、スタートアップの中小企業にぴったりの創造拠点が、横浜の中心部・関内の好立地にある。「small is better」を合言葉に、2015年4月にオープンした「泰生ポーチ」だ。

関内桜通りに面する泰生ポーチ。ロゴマークのフラッグが路面にはためく

入居希望が絶えない築50年の人気ビル

関内駅から徒歩5分、4階建てで計12部屋を擁するクリエイティブ拠点の「泰生ポーチ」。12~15㎡の個室が一部屋4~6万円程度で借りられる、築50年の歴史をもつビルである。関内桜通りに面した1階スペースは、平日朝〜昼はコッペパン屋、午後は小学生放課後事業、夜と土日はイベント会場として活用されている。以前は会員制のクラブだった場所で、その面影を残す天井やシャンデリアをあえて再利用したのも、「泰生ポーチ」の見どころのひとつだ。
オープンからまる3年が経ち、入居者の顔ぶれもすこしずつ変わってはいるものの、今なお入居希望者が後を絶たない。歴代の入居者には、建築、PR、ブランディング、イベント運営、編集、デザイン、ウェブ制作など、幅広い分野のクリエイターがオフィスを構えてきた。向かいの「泰生」ビルの“玄関先”に建つ立地に由来する、「ポーチ」という名称。ここにはこの場所を、“創造都市横浜の入口”にしていこうという思いも込められているそうだ。入居者たちの仕事ぶりを見ていると、その思いは体現されているように感じる。

泰生ポーチができる前、会員制クラブだったころの面影を残す1階はオンデザインパートナーズならではの改修

クリエイティブ・シティのストーリーとともに

かくいう筆者も2015年5月から3年間、このビルに入居させていただいた。グラフィックデザインと編集・執筆などを手がける小さな会社だが、個人事業主から法人化するタイミングでここにオフィスを構えた。移転資金の一部は、アーティストやクリエイターをサポートするアーツコミッション・ヨコハマ(ACY)事業の「事務所開設助成」に申請してまかなうことができた。「泰生ポーチ」の立ち上げ当時から、入居者の多くはこの助成金を活用している。

クリエイティブ・シティのなかで生まれた創造拠点の「泰生ポーチ」。入居者だけでなく、さまざまな人が出入りする

泰有社は、同じくACYの「芸術不動産リノベーション助成」を活用し、馬車道にあったクリエイターによるシェアオフィス「宇徳ビル ヨンカイ」の有志メンバーとともに「泰生ビポーチ」の改修を手がけた。その中心となって企画・改修設計・運営を担っているのが横浜を代表する建築事務所オンデザインパートナーズだ。横浜の資源を集めてつくられた「泰生ポーチ」は、横浜の創造拠点のひとつとしてクリエイターがネットワークを広げ、新たな活動が生まれる場としても期待されている。クリエイティブ・シティを掲げる横浜の中心部にあり、手頃な家賃で借りられる「泰生ポーチ」は、スタートアップの企業や個人経営者などにぴったりの環境と言えるだろう。
 
次回からは泰生ポーチを拠点にして活動を続ける入居者たちへのインタビューを随時更新していきます。お楽しみに!

取材・文:及位友美(voids)/写真:加藤甫

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