材料は“誰でも手に入れられる生野菜”
弘明寺に工房を持つアズマフィンは、オンラインショップと、週1回アキナイガーデンでの直売を行っている。40種類以上あるレパートリーをできるだけたくさん味わってもらいたいと、一般的なマフィンのイメージよりは少し小振りな「3個ペロリと食べられるサイズ」となっている。
この日のメニューは「じゃがいも&メープル」「たまねぎ&キャラメル」「さつまいも&ごま」「かぼちゃ&キャラメル」「にんじん&オレンジピール」のマフィンに加えて、「キャベツ&マカダミアナッツスコーン」、「ブロッコリー&チーズラスク」など。材料には野菜パウダーなど加工品ではなく、誰もが手に入れられる生野菜を使うことがこだわりだ。
「みんなが普段目にしている生野菜をピューレ状にしたり、ダイスカットにしたり、作るマフィンに合わせて加工しています。一年中ある野菜でも季節や買う場所によって色味や水分量が全然違うので、上に載せただけとか中に入れるとか、入れ方を変えることもあるし、組み合わせる食材自体を変えることもある。さつまいもアフィンだけでも3バージョンくらいあります」(綾子さん)
見えなくなるまで野菜を小さくしてごまかすのでも、逆にこれでもかと野菜が主張するのでもなく、驚くほど自然な素材の味のマッチングがアズマフィンの魅力。「野菜が入っているということだけでびっくりしてもらっても良いし、食べて『なんだろう?』と考えてもらっても良い。それを人と共有できる、そういう楽しみがあることが大事なんです」と綾子さんは語る。「○○産の△△を何%使っているとか、難しくするのではなく、楽しくしたい。そんな思いから、『たべるをたのしく』をコンセプトにしています」
弘明寺は「風景に変化がある」
マフィンづくりを担当するのは妹の智子(SATOKO/トップ写真左)さん。以前から智子さんの工房を手伝っていた姉の綾子(AYAKO/同右)さんが2014年に正式に加わり、2人の名前の頭文字を合わせて「AS muffin」として再スタートした。野菜マフィン専門店となったのは、広報や販売を主に担当する綾子さんの提案だ。
水島さん姉妹はお隣の横須賀市出身。社会人になって横浜に越してきた綾子さんは、たまたま旭区あたりで道に迷ったときにたくさんの畑を見つけ、「横浜産の野菜があるんだ」と衝撃を受けたという。姉妹ふたりとも横浜市環境創造局が主催する地産地消分野の人材育成講座「はまふぅどコンシェルジュ講座」を修了し、野菜は市内や近郊の直接つながりのある生産者から仕入れている。
弘明寺を選んだのは、京急線沿いで横須賀に比較的近く馴染みがあり、住みやすそうだったからと綾子さん。「風景に変化があるところが好きですね。商店街があって、住宅地があって、山を登ると公園から街が見渡せる。川では魚を眺められるし、鳥もいるし、春は毎日桜が観られるし」
弘明寺を選んだのは、京急線沿いで横須賀に比較的近く馴染みがあり、住みやすそうだったからと綾子さん。「風景に変化があるところが好きですね。商店街があって、住宅地があって、山を登ると公園から街が見渡せる。川では魚を眺められるし、鳥もいるし、春は毎日桜が観られるし」
塩サバのスコーン?!
そんな綾子さんは、大の魚好きという一面も持っている。「魚を愛でて食べる会」では、「目を合わせる」「エラをそっと開いて見てみる」「どうやって食べたらおいしいんだろう? と想像してみる」といった「魚を愛でる10ヵ条」を実践すると、“サカナメデリスト”に認定されるという一風変わったイベントだ。ただ出された料理を食べるのではなく、普段なかなかじっくり見ることのない魚を隅から隅まで観察し、触ってみることで新たな驚きや発見が生まれる。そこには、マフィンと同じ「たべるをたのしく」というコンセプトがある。
今年はサカナメデリストとして、サバとアジでまちおこしをする静岡県伊東市の「サバーソニック&アジロックフェスティバル」というイベントにも進出。「出店申し込んじゃったから!」と事後報告で智子さんを説得し、「塩サバとレモンのスコーン」というメニューを編み出して販売した。
魚だけでなく、金沢区の金沢漁港沖で計画養殖しているブランド昆布「ぶんこのこんぶ」や青のり、ひじきなどの海藻を使うことも提案しては、智子さんに呆れられているという綾子さん。基本はイベント用の特別メニューだというが、今後どんな変わり種が生まれるかも楽しみだ。
<アキナイガーデン直売日>
10月末までは毎週土曜日、11月以降のスケジュールはSNSで告知
11:00〜/15:00〜 売り切れ次第終了
<イベント出店予定>
11月3日(日・祝)12:00-16:00 黄金町パンとコーヒーマルシェ@かいだん広場
11月16日(土) 北仲マルシェ @北仲通北第二公園+水際プロムナード
◎お店の詳細は、以下のサイトまで
たべるをたのしくAS factory
AS muffinオンラインショップ
文・写真:齊藤真菜
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