オンデザインと4kadoが設計し2018年に入居開始した204号室の「水谷基地」、翌2019年にオープンした105「アキナイガーデン」、アキナイガーデンスタジオが設計した2つの住居(307・309号室)、そしてStudio on_siteによる「大地と育つ家」と題した302号室。アキナイガーデンの主催で、弘明寺・水谷ビルの各部屋の変化・進捗をのぞくことができるオープンデーが10月に開催されました。
コミュニティの玄関口「アキナイガーデン」
この日は「喫茶アキナイガーデン」が営業。いつものようにコーヒーを買いに来る人、オープンデーに訪れる人、今日は何をやっているのだろうと様子見に来る人皆を迎え入れる溜まり場となった。店頭に立ったのは、「えんちゃん農場パートナーズ」でアキナイガーデンでの出店をきっかけに、お店の手伝いや喫茶営業をしてくれているメンバーだ。
常に楽しい仕掛けのアップデートも欠かさず、お手製のガチャガチャでは日替わりで出店する各店舗のイラストステッカーやクーポンがゲットできる。
住人の暮らしが各自の“玄関先”に滲み出る「水谷基地」
水谷マンションに新しい流れができるきっかけとなったシェアハウス「水谷基地」。共有部から各部屋の“玄関先“を見渡すと、3年のあいだに各住人の生活が少しずつ外側に滲み出てより個性が感じ取れる“路地“になっていることがわかる。
余白のある307号室/明暗が共存する309号室
もともとアキナイガーデンの梅村陽一郎さんと神永侑子さん夫妻の住まいだった307号室は、新たな住人を迎えて家具の配置も少し変わり、また違う生活ニーズに答える形になっている。
梅村さんと神永さんが新たにリノベーション設計を手がけて引っ越したのが309号室。中央の“洞窟”と明るい窓際のコントラストが目を引く、307号室とはガラリと雰囲気の変わった角部屋だ。
「窓のない中央の部屋をどうしようか考えたときに、その暗さを生かして生活の中に取り込むことで、メリハリを付けようと思いました」と神永さん。以前は気づけばいつも同じ場所で過ごしていたが、今は能動的にそれぞれのスペースの使い方を考えることが増えたという。
“洞窟”内では、アーティストの友人に作ってもらったというこの部屋のコンセプトムービーを上映。空気感や生活感、明と暗の関係、温度、人の動きなどを映像で表した。
奥に設置したテーブルの天板は、弘明寺エリアで収集出来る土を主な材料とした「いすみ古材研究所」とのコラボ作品。
素材からつくる「大地と育つ家」
302号室は、土壁のにおいがどこか懐かしい異色の部屋だ。自ら住みながら作業を進めているのは、Studio on_siteの森詩央里さん。クライアントワークではなかなか追求できない、「自分らしい生き方・暮らし方」を素材づくりの段階から体現している。
土壁に使用しているのは自身で採取した牛糞などの自然素材。数週間ねかせて発酵させるなど試行錯誤を重ねながら、ちょうど良いものに仕上げてきた。握ったときの粘り気を確認しながら、ひび割れしないように調整しているという。
それぞれ建築家が住みながら手を加えたりメンテナンスしたり、建物との向き合い方が見えるオープンデー。次の変化を楽しみにしたい。
日時:2021年10月16日(土)10:00〜18:00
会場:神奈川県横浜市南区弘明寺町144-1
105・204・302・307・309号室
アクセス:京浜急行「弘明寺駅」徒歩8 分、または横浜市営地下鉄「弘明寺駅」徒歩5分
取材・文:齊藤真菜
写真:大野隆介
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