小商いを実践する人々が集う水谷ビル1階のレンタルスペース「アキナイガーデン」。野菜マフィン専門店「アズマフィン」に続いて、今回は「きまま茶ろん」の営業日にお邪魔しました。
下町感のある弘明寺が大好き
お茶漬けの作り方やほうじ茶の焙煎の仕方など、さまざまなお茶の楽しみ方を「日本茶きままなワークショップ」として教えている「きまま茶ろん」。主宰する日本茶インストラクターの徳地誉子さんは、会社員時代に9年近く弘明寺住んでいた。商店街の下町感が大好きで、隣の上大岡に住む今も度々通っていたところ、アキナイガーデンを見つけたそうだ。
「福岡の地元と違ってシャッターが閉まっているお店も少なかったり、最初に弘明寺に来た頃にはおじいちゃんがやっていたお店を今は二代目、三代目の方が継いでいたり、すごいなと思います。遅くまで明かりがついているのも、帰宅時に通る人に優しくていいですね」
弘明寺の好きなお店や場所を聞くと、たこ焼き店からラーメン屋、居酒屋、銭湯、新しくできたおしゃれなバーまで、次々と名前が挙がる。ワークショップ帰りに近場を散策したい人は、寄れる場所には困らなさそうだ。
日本茶を気軽に
そんな商店街を日常的に楽しむ徳地さんは、もっと気軽に日本茶を楽しんでほしいと現在月1回のペースでワークショップを開催しているほか、保育園や福祉施設、イベントなどで出張サロンを開いている。
「母が茶道をやっていたんですが、茶道って準備がすごく大変なんですよね。一杯お茶を飲むために、お花を準備したり掛け軸を準備したり、冬だったら炉に灰を準備して炭を温めたり。もっと日常的に楽しめるお茶の空間を作れたらいいなと思ったんです。堅い感じが好きではないので、ゆるくのんびりしてくれたらいいなと思って『きまま』と名づけました」
日本茶インストラクターの資格を取ると、お茶の淹れ方だけでなく、お茶の木の育て方や販売の仕方も学ぶそうだ。この日も淹れ方を説明しながら、イベントで農家さんから直接仕入れたという茶葉について教えてくれた。
「農家さんの顔が見えるように、ファーマーズマーケットやお茶のイベントに足を運んで買うようにしています。これは静岡の『世界お茶まつり』で見つけた香り緑茶です。お花みたいな香りがするんですが、添加物を入れているわけではなくて、萎凋といってお茶っ葉を摘んでから少ししおらせる作業をすることによって香りが出るんです。この農家さんは、香気発揚技術という新しい技術でこの作業ができる機械をわざわざ作ってるんですよ。こういう面白いお話がいっぱい聞けるんです」
豊かな時間を味わってほしい
会社員をやめる当初は、ゲストハウスをやってみたかったという徳地さん。旅行先でたまたま泊まったゲストハウスでの経験が忘れられないそうだ。
「いろんな人と話すことや、時間を共有し合うことってこんなに楽しいんだな、仕事にしたいなと思ったんです。なかなか踏み出せませんでしたが、人と話すことやその時間を大事にしたいという思いは変わっていません。ゆくゆくは、この街かもしれないし別のところかもしれないけれど、まちの居場所づくりのようなことをやってみたいと思っています」
形式張らず、でもひと手間かけることで、みんなでゆったりと豊かな時間を味わってほしいと語る徳地さん。忙しい日々の合間に、一服いかがだろうか。
◎ワークショップ詳細は、以下のサイトまで
きまま茶ろん https://www.kimamasaron.com
文・写真:齊藤真菜
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