私たちは不動産事業をとおして、コミュニティをはぐくむまちづくりに取り組んできました。半期ごとに、入居アーティスト・クリエイターの活動を紹介するフリーペーパー「泰有通信 vol.6」のコンテンツを、WEBサイトでもご紹介します。トナリノクリエイターは、入居アーティスト・クリエイターが、最近の仕事や考えていることをつづるリレーコラムです。
石丸由美子さん(イシマル建築設計室)
トキワビルのときにわに入居しているイシマル建築設計室の石丸です。
約25年前のこと、飯能市にあるあけぼの子どもの森公園の「森の家」に惹かれ、当時建築雑誌で求人をしていた村山建築設計事務所の面接を受けに横浜へ。木の生い茂る民家の事務所、暑い日に村山さんはランニング姿で現れ、2週間後から働くことに。
製図板に平行定規の付いた机。毎日朝と夕方にスケッチと話、3時にみんなでお茶をして不定期に夕食を作り、現場で左官工事があれば作業をする。スケッチを繰り返し何度も図面に起こす。敷地を読み、平面図で空間内部の広がりと動線を見つめ、断面図で空間の大きさを知る。油土を塗ったスタイロ模型をカッターで削っては油土をつけ、また削り、形を見つける。よく考える。そんな事務所で建築を学び、独立しました。
昨年末に竣工した70㎡ほどの木造の事務所は、お施主さんからできるだけ国産材で産地の分かるものを使いたいと言われ、床には北海道、壁には屋久島の地杉を。解体した敷地内倉庫の古材の一部は梁に再利用、秋の新月に秦野の立木を1 本伐採し、葉枯らし乾燥させ柱に。
探し、選び、見つけることに十分な時間を費やすことができました。関わるひと、ことがらにじっくり向き合って考え、これからも丁寧に建築設計の仕事に携わっていきたいと思っています。
石丸由美子(イシマル・ユミコ)/1992年専門学校卒業。同年加藤進建築設計室(名古屋市)入所、1998年村山建築設計事務所(横浜市)入所、2015年イシマル建築設計室設立、現在に至る。